「絢斗、くん」
「なに」
「……目立って、る」
ちらりとクラスのみんなに目を向けたら、みんなが私の隣に座った絢斗くんを見ている。
「絢斗くんから行った?」
「え、なんで?」
「木村さんのこと好きとか……?」
「いやそれはないでしょ。いつも冷たいし」
ざわざわとみんなが騒ぐ声が聞こえてくる。
絢斗くんもちらりと目を向けて、それから興味なさそうに背もたれに深くもたれかかった。
「放っとけば」
「……わかった」
みんなにばれたくないって言ってるのは絢斗くんなのに、こんなみんなの前で、隣に座ってもいいの?
絢斗くんが何を考えているのかわからなくて、視線を泳がせる。



