そもそも貴族の爵位を持っているだけで、勝手に結婚相手を決められるなんて話自体、おかしい。


私には心に決めた人がいる、だからーー



「私は私の力で運命の人を見つけ出すんだから、邪魔しないで欲しいわ!」



捨て台詞を吐き出しながら自室の扉を力強く開くと、部屋で待機していた侍女達が何も言わずともこのキツく暑苦しいドレスを脱がせてくれる。


普段から着慣れたドレスワンピースにあっという間に着替え終わり、ソファーに優雅に腰を下ろす。


ふわりと漂う美味しそうなダージリンティーの香りが鼻腔を擽ると、湯気が立ち込めた紅茶がテーブルの上に置かれる。


先程は何も飲めなかった分なのかティーカップを手に取ると、喉が紅茶を求めて仕方ない。


ゆっくりと二口、紅茶を喉に通しほっと一息ついていると、先程着替えを手伝った侍女達が何故かもじもじしながらこちらに視線を送ってくる。


落ち着きがないその様子を見かねて、私から声を掛けた。



「落ち着きがないようですけど、何かあって?」


「そ、その……ローズベリア様、前からお伝えしたように、えっと……」



一人の侍女が代表して声を発するが、言いたいことが喉に詰まっていて中々話が進まない。


だけれども、その侍女を追いかけるかのようにもう一人の侍女が話を繋げる。



「今夜、街でハロウィンナイトがあるんです。なので、今日はこれでおいとまさせていただきます」



そう言えば、そんな事を先月ぐらいから侍女達が我よ我よと私に逐一報告しに来ていたのを思い出す。


その時点で私は別に何も構わないと、素っ気ない返答を返していたのだから、別に気にせず言ってくればいいものを。


「ああ、そうだったわね。いいわ、帰ることを許可するわ」


「「ありがとうございます!」」


部屋の中にいる侍女全員が一斉に綺麗に見えるとされる角度のお辞儀を、まるで兵隊のように決めてぞろぞろと部屋から出ていった。


待って、一気にこの人数の侍女が帰るっていうの?


これはこれで侍女長をお叱りを買う可能性もありそうだけれども……まあそれはそれで聞き流して終わりにしてしまえばいいわ。