悪役令嬢には甘い言葉は通じない。




「俺が人間じゃなくてビックリした?」



答える力すらなくなってしまった私は、弱弱しく頷くとルーベルトはそっかと呟いた。



「今日は俺たち魔族が唯一人間界に降りていいハロウィンナイト。毎年毎年、俺はこの日は必ず君の元へ訪れていたのに」



少し寂しそうな顔をしたかと思えば耳を甘噛みされて、まるで電気が走っているかのようなその感覚に声が漏れる。


さっきまでルーベルトに何も感じることはなかったのに、一体どうしちゃったっていうの?



「でも毎年、手紙は受け取ってくれているみたいでそこは安心したよ」



手紙という言葉に、残っている力を振り絞ってルーベルトの動きを止めてみせた。



「手紙って……あの落ち葉の印が押された……」


「そう。あれは俺が送った手紙。君が成人するまでずっと待ってたんだ」



誰か知りもしない相手からの手紙だというのに、その手紙を読むと私の心はいつも温かくなって誰にもバレないようにその手紙を毎日のように読み返していた。

辛い時や寂しい時、その手紙だけで私は前を向けた。

その手紙を差し出してくれている相手といつか結ばれたいと、そう密かに抱いていたの。