あなたが私を選んだ理由に、断固異議あり!

「やっぱりこれだよね。」

さんざん宝石を見て、東條さんが気に入ったのは、最初に見せてもらったエメラルドだった。



「じゃあ、よろしくね。」

「うん、きっとすごく良いものになるよ。」



結局、婚約指輪はオーダーされた。
止めなきゃって思うのに、雰囲気的にどうにも止められなくて…



「あ、ちょっと待ってて…」

東條さんは急に駆け出し、私はベンチに座った。



なんだかえらいことになってしまった。
婚約指輪のオーダーまでしちゃったよ…
っていうか、あの指輪…値札はついてなかったけど、一体いくらなんだろう?
きっと高いよね。
何十万もするんだろうね。
そんなのもらって良いのかな?
いや、良いはずがない。



(どうしよう!?)



なんだか、めちゃめちゃ不安なんですけど…



「お待たせ。じゃあ、行こうか…」

「あ、あの…東條さん、私、帰りは地下鉄で帰ります。」

「え?送って行くよ。」

「いえ…けっこうです。」

「そうなの?」

ひとりになって、考えたかったから、私は東條さんにそう言った。
それに今から家に送ってもらったら、お父さんも帰ってるだろうし、ますますややこしいことになりそうだから。
って、もはや、完全にややこしいことになってるのに、今更、そんなこと考えても無駄かな。