「すまない。理想の話をしすぎたね。圭吾に知られたら締められるな」 豪快に笑った理人先輩のお父様を、真っ直ぐに見つめた。 ……このままでいいわけがない。 心の中で、パパにごめんねって思いながら深く息を吸う。 さっきまで冷えていた手のひらは汗ばんで、肩に力が入る。 上手く伝えられなくても、怒られても構わない。 言わなきゃダメだから。 「──私には、好きな人がいます」 自分でもやけに冷静な声だったと思う。 「歌鈴ちゃん……?」