「下を見てはいけないと、幼い頃から教えているだろう」 まるで置物でも見るかのような目で一瞥する。 し、下……? 「高みを目指す者は、常に上を見なくてはいけない。わかっているね、理人」 「……はい。お父さん」 空気がキンと凍った。 下を見るなって、蓮くんのことを言ってるの? 「歌鈴ちゃん悪い。もう行こう?」 お父様の後ろを歩きながら私に声をかける。 だけど、蓮くんが心配になって躊躇った。