* * * それから私は寝る準備を済ませると二階へ上がった。 ──カチャッ 「……蓮、くん?」 夜は冷えるから、クローゼットから見つけた電気毛布を忍ばせようとしたけれど、ベットでは蓮くんが仰向けになっていた。 それも、目元には経済と書かれた本が乗せられたまま。 ……蓮くん、寝てるのかな? 辺りには数学の教科書や他の本が散らばっている。 毛布を置いてそっと近寄ると、規則的な呼吸をしているのがわかった。