「へぇー? すげぇ自信。でも残念だね。ただの一般家庭の家に育ったキミ相手に、花咲財閥がみすみす譲るわけないんだよねー」

「……ちょっ、理人先輩!」


今のはいくらなんでもあんまりだ。

クリスマスパーティーの時と同じ言い回し。


どこの家で育ったかなんて関係ないのに、それを蔑むような言い方に、私は怒りを覚えた。

だけど、蓮くんは顔色ひとつ変えることなく、フッと口角を上げる。


「カッコ悪いね。そうやって家の名前で勝負しようとしてる時点で、あんたの負けだよ先輩」


私の手をしっかり繋いで「もう帰ろう?」と淡く微笑むと、理人先輩の部屋から連れ出してくれた。