「あれー? まだ緊張してる?」 「はい……そりゃ、もちろん……です」 「歌鈴ちゃんの家も似たようなもんじゃない?」 理人先輩はケラケラと楽しげに笑っているけど、私はそれどころじゃない。 「歌鈴ちゃん、ちょっと待って」 理人先輩が足を止めたのは、書斎のような立派な部屋の前だった。 「親父はまだ会社?」 中にいた執事の方に声をかけている。 「お戻りは夜が更けってからでございます」 「なんだー。残念」 戻ってきた理人先輩に再び手を引かれ、あたふたと私は尋ねてみる。