キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「ボールが顔にあたったんだけど、骨折もなかったし問題ないって」

「よかったね。四番でキャプテンか。どんな人なんだろ」


真奈がつぶやくので、この髪形を『かわいいよ』と褒めてくれた瞬間の先輩の顔を思い浮かべてしまった。


「すごくいい人だよ。優しくて、真面目で、人当たりがよくて、誠実で……」


先輩のいいところしか思い浮かばない。


「莉奈。もしかして、その先輩のこと好き?」


真奈から飛んだ質問に、ドキッとする。
そんな話し方をしただろうか。


「わけないじゃん。尊敬する先輩なの。マネージャーになってよかったと思わせてくれる素敵な人だよ」

「なんだぁ。好きなのかと思った。でも莉奈がそこまで言う人なら会ってみたいな。見学に行ってもいい?」


見学?

思いがけないことを言われてびっくりした。

真奈は体が弱いのもあってスポーツ全般に興味がないように見えていたからだ。