キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

どうしよう。顔、赤くなってない?

うれしいのと同時に照れくさくて、先輩の顔を見られなくなった。


「わ、私は先輩を尊敬してます。あんなにうまいのに、練習も一番積極的で。だから部員が皆先輩についていくんだと思います」

「ありがと。キャプテンに指名されたとき、本当は胃が痛くて吐きそうだったんだよ。自分のことで精いっぱいなのに、チームをまとめるなんて無理だと思って」

「え! 先輩しかいないと思ってましたよ、私は」


エースの福岡先輩もキャプテン候補だったかもしれないけれど、求心力があるのは断然池田先輩だと思う。


「柳瀬って、お世辞がうまいね」

「お世辞じゃないですって!」


ムキになりすぎてハッとすると、彼はクスクス笑っている。


「熱いよね、いつも。でも、そういうところ好きかも」


好き? 
その〝好き〟が恋愛感情のそれではないとわかっていても、勝手に胸が高鳴っていく。