キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「大丈夫そうだな。池田が自力で帰れるというから学校に戻る。お大事に」

「ありがとうございました」


先生を見送ったあと、先輩の隣に行く。


「吉岡先輩に電話しておきました。このまま帰るようにと指示が」
「うん」


彼のあごには大きなシップが貼られていて痛々しい。
でも、微笑んでくれたので私もひと安心だ。


先輩とゆっくり駅までの道を歩く。
思えばふたりで肩を並べて歩いたのなんて初めてだった。


「付き合わせて悪かったね」

「とんでもない。これもマネージャーの仕事ですよ?」

「うん。ほんとよく働いてくれて助かってる。それにしても、髪、びっくりしたよ」


彼は優しい笑みを見せる。


「暑いし気分転換に」

「すごく似合ってる。こっちのほうがかわいいよ、絶対」


ダメだ。先輩の言葉がうれしすぎて、息の吸い方がわからない。


「ほ、ほんとですか?」
「もちろん」