キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「心配かけてごめん」


ようやくまともに話せるようになった池田先輩は、私に頭を下げる。


「いえ。イレギュラーバウンドは避けられるものではないですし、先輩が謝る必要なんてありません。吉岡先輩に連絡入れてきますね」


私は外に出て、池田先輩の無事を知らせる電話を入れた。


『はー、よかった。まだ腫れてる?』

「はい。内出血はしていますが痛みが引いてきたようで、普通に話せるようになりました。痛みさえ治まれば練習に復帰してもいいそうです」

『そう。池田くんが抜けると困るからね。次の試合も間に合いそうね。今日はそのまま帰って。監督にも伝えておく』

「お願いします」


吉岡先輩はホッとした様子だったけど、それは私も同じ。

今の旭日高校には池田先輩の力が絶対に必要だからだ。


待合室に戻ると、先生が会計を済ませたところだった。