キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

マラソンが大の苦手な大島くんに声をかける。
中江くんは先頭を涼しい顔で走っていた。


一年生の確認を終えた私は、ノックの球拾いに向かう。


「もう一本お願いします!」


池田先輩のキリリとした声がグラウンドに響く。
彼は率先してノックを受けていた。


「さぁ、こーい」


監督の打つボールに必死に食らいついていても、グローブをかすめるだけで取れないこともよくある。

それなのにあきらめずに追いかけて汗を流す姿がとんでもなくかっこいい。


「まだまだ。走れよ、池田!」


監督は肩で息をしている池田先輩をさらにあおる。


「よし、こーい」


そしてそれにこたえる先輩の姿に胸が熱くなった。

これほどつらい練習をこなしても、甲子園の土を踏める高校球児はほんのひと握り。

それでも歯を食いしばって練習を続ける選手たちをしっかり支えなければ。