キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「真奈、大丈夫なの? ……なに?」


驚いた様子の莉奈が眉間にシワを寄せる。


「大丈夫だよ。あっ、プリントやるの忘れてた」


うまく説明できない私は、プリントを机に出して彼女を遠ざけた。



中江くんと須賀くんはホームルームまでに戻ってきたものの、ピリピリしているふたりに話しかける人はいない。

そのまま授業に突入した。

二限の数学の時間に散らばったあのプリントが配られたときは、須賀くんの冷たいひと言が頭をよぎったけれど、中江くんが見守ってくれていると思ったら落ち着けた。



午後練は柔軟のあと一年生は基礎トレーニング、二年生はノックと別れた。

一年の基礎トレーニングは、地獄のマラソンと体幹トレーニングをみっちり一時間こなす。皆が一番嫌がる練習メニューだ。

一方二年生は、監督のもと内野からノックが始まった。


「大島くんファイト!」