キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「先輩、お休みして申し訳ありませんでした」

「それは気にしなくていいよ。もう平気?」

「はい」


会話をしている間もじっと見られているので落ち着かない。


「でも病み上がりだから無理するな」

「ありがとうございます」

「誰かと思ったら、柳瀬じゃん!」


次々と先輩たちが私を取り囲み、視線を向けてくる。あんまり見られるのは得意じゃないのに。


「なにチビに群がってるんですか。ハエみたいですよ、先輩」


相変わらず口が悪いのは中江くんだ。

でも、彼のひと声が利いたのか、先輩たちは練習に散っていった。


「お前……」


先輩たちを遠ざけた中江くんは、かなり短くなった私の髪をじっと見つめて何度も瞬きを繰り返す。


「変、かな?」
「いや。いいんじゃね?」