キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

母に適当にごまかすと、「そう。部活やってるから、短いほうがいいかもね」と納得している。


一方真奈は興奮気味に私の周りを一周して、「いいね、これ! 莉奈に似合ってる」と無邪気に褒めてくれた。

けれども、本当は切りたくなかった私は複雑だ。


「それにしても、突然だね」
「う、うん。なんとなく、気分?」


真奈は「そう」とうなずいているけれど、彼女の顔は直視できない。

須賀くんの気持ちを私が伝えるのもおかしいし、間違えられてののしられたことも言いたくなかった。



翌日は、朝練に顔を出した。
すると、髪が短くなった私に気づいた池田先輩が目を丸くして近寄ってくる。

なんて言われるだろうか。
笑われる?


うつむき加減でドキドキしていると、「びっくりした」という第一声が耳に届き緊張が走る。


「けど、柳瀬っぽくていいかも」


よかった。おかしくはないんだ。