キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

雑誌を受け取った私は散々迷って、ちょっと大人っぽいワンサイドショートボブを指さした。


「これ、似合わないですかね……」


おそるおそる尋ねると、「いいと思いますよ」と微笑まれてこれに決めた。


――ジャキッ。


音とともに、髪がバサッと床に落ちたのがわかる。

自分でハサミを入れたものの、ずっと伸ばしてきた髪をバッサリ切るのは緊張する。

でも、中江くんに『いつも一生懸命なお前のほうがいい』と励まされたことを思い出し、深呼吸した。


頑張れ、私。

何度も何度も心の中で自分に言い聞かせて、鏡の中で変わっていく自分の姿をじっと見ていた。



帰宅して三十分ほどしてから真奈が病院から帰ってきた。

彼女も母も私の髪形を見て、目をぱちくりしている。


「その髪、どうしたの?」
「暑いから切りたくなって」