泥を顔につけて部活に励んでいるのは認める。
でも、この長い髪だけは自慢だったのに。
毎日トリートメントも欠かさずにして、痛まないように気をつけて。
この髪だけが、私が女の子である証のように思っていたのに、それすら否定されてしまった。やっぱり、男の子じゃない私なんて必要ないんだ。
「須賀になんて言われたんだ」
彼は私の肩に手を置き、眉根を寄せる。
須賀くんが出ていくところを見たから戻ってきたの?
私がいつもからかわれていると知っているから心配した?
「中身は全然違うのに、真奈と同じ髪形にするなって。まぎらわしいって。ほんと、その通りだよねぇ。真奈だと思って告白したら私だったなんて、ショックだっただろうなぁ」
無理やり浮かべた笑みが引きつっているように感じる。
でも、泣くのだけはこらえた。
「違うに決まってるじゃないか」



