キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

でも、それを言われた頃は自分が男の子でないことに罪悪感のようなものを覚えた。


「そう、だよね。私に真奈と同じ髪形にする権利なんてないよね。男の子に生まれればよかったよね」


じわじわと涙があふれてきて視界が曇り、ついに涙がこぼれだした。


「私なんて、生まれなければよかった。真奈だけでよかったのに」


消えちゃいたい。

須賀くんの言葉が胸に突き刺さり、昔のことまで思い出して感情が高ぶりすぎた私は、視界に入ったハサミを手にして自分の髪に触れる。


「柳瀬！」


誰かの大きな声が聞こえた瞬間、ジャキッという音が響き渡った。


「なにしてんだ、お前！」


私の手からハサミを取り上げたのは、部活に行ったと思っていた中江くんだ。

我に返った私は慌てて頬の涙を拭い、笑顔を作る。


「あはは。真奈と同じ髪形なんて、紛らわしいよね。最初からこうしておけばよかったのに、バカだね私」