なぜ私が謝らなければならないのかわからなかったけど、彼があまりに悔しそうな顔をするのでつい。
「後ろから見たら同じなのに、中身は全然違う。双子だからって同じ髪形にすんなよ、まぎらわしい!」
彼は力任せにドアを蹴とばしてから、くるっと振り返り走り去っていく。
「全然違うって。そんなこと言われなくたって……」
私が一番わかってるのに。
「なんで……」
どうして私は真奈と双子に生まれたのだろう。
真奈に比べて勝るところなんて、健康な体くらいしかない。
幼い頃から母と真奈と一緒に公園に行くと、「真奈ちゃんはおとなしくてかわいいね。莉奈ちゃんが男の子だとよかったね」としばしば言われた。
砂場でじっとしている真奈とは違い私は活発で走り回る子供だったので事実だし、女の子ふたりじゃなくて片方は男の子がよかったねという意味だったと今では理解している。



