キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

ドア近くにいた女子にあいさつをされたのに相変わらずぶっきらぼうな彼は、ふたつボタンを外したシャツをパタパタさせてかったるそうな態度で席につく。


「柳瀬」
「なに?」


斜め前の席の私は彼に呼ばれて返事をした。


「化学終わった?」
「当然」
「よく言う」


ニヤリと笑う彼だけど、もちろん感謝している。

どうにも進まなくて、毎日のように電話していたからだ。

その後すぐに先生が入ってきたので、会話は途切れた。



始業式と宿題提出が終わると、真奈のように部活に入っていない人たちが帰っていくのを眺めながら、すぐに部室にまっしぐら。

もちろん今日も練習があるからだ。

昇降口で真奈とその友達、そして数人の男子がカラオケに行こうと話している。

真奈は体が弱いのもあり男子にも気遣われていて、悪態をつかれてばかりの私はちょっとうらやましく思っている。


「莉奈、部活?」
「うん」