キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「任せて。行ってきます」


母の心の負担を軽くしたかった私は、笑顔で了承してから玄関を飛び出した。


「莉奈、焼けたね」


登校早々、クラスメイトの弘香(ひろか)につっこまれる。


「あはは。しょうがないよ。今日も暑いし」


九月に入ったからといって、突然気温が下がるわけでもなく、今日も真夏日になるそうだ。


「日焼け止め使ってないの?」

「使っててこれなの」

「ほんと、双子でオセロだよな」


近くにいた男子が口を挟んできて胸が痛んだけれど、笑顔で「だね」と適当に流しておいた。

いちいち取り合っていてはキリがない。


少し離れた席の真奈は数人の友達に囲まれていて、笑顔がはじけている。

家でいくらでも話せるため、学校では真奈と私はそれぞれ仲のいい友達と一緒にいることが多い。


予鈴が鳴る直前に、中江くんが登校してきた。


「おはよ」
「うん」