キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

幼い頃からよくあるし、真奈は苦しんでいるのだから仕方がないと納得している。


『飯は?』

「適当に作るよ。今日はなににしようかな。カルボナーラにしようかな」


ひとりで食べる食事は味気ない。でも、もう慣れっこだ。


『食いすぎるなよ』
「ひとり分にしとく」


答えると彼は「一・五人前までは許す」と笑った。



私は部活に行きながら中江くんの助けを借りてなんとか宿題を済ませ、五日後の二学期の始業式を迎えた。


「莉奈、遅れるよ」


すっかり元気になった真奈は、玄関を出たところで朝練がなく一緒に登校できる私を急かす。

彼女は夏休みの間あまり外出もせず家にいたせいか、友達に久しぶりに会えるのが楽しみらしい。


「すぐ行く」


ローファーを履きながら答えると、母が「真奈を気をつけてみてやって」と私に小声で念を押した。

喘息の発作が出ないか心配しているのだ。