キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

衝撃の告白に固まっているのは私だけのようで、彼はいたって普通の調子だ。


「う、うん」
『どこ?』


彼の声のあとに、ゴクンと音がする。
なにか飲み物でも飲んでいるに違いない。


「ごめん、やっぱいい」
『いきなり詰まるくせして、いいわけないだろ』


おっしゃる通りで。

でも、いろいろ想像する私は、心臓がバクバクと大きな音を立てている。


「それじゃ、問題集の二十一ページの一番だけど……」


胸に手を当て呼吸を整えながら質問すると、彼は解説を始めた。


「すごー。先生よりわかりやすい」


わからないのをバカにされるかと身構えていたのにそんな素振りはまったくなく、丁寧に基礎から教えてくれた。


『とにかく、さっき教えた公式覚えろよ』

「了解しました」

『そういえば妹入院って、お前ひとりなの?』

「うん、お父さん遅いって言ってたし」