キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

最後まで残って部室の片づけを簡単にしてから校門を出ると、ついさっき帰ったと思った中江くんが自販機でジュースを買っている。


「お疲れ」


あいさつをして通り過ぎようとしたのに、目の前に冷たいスポーツ飲料を差し出された。


「お前、顔真っ赤だぞ。飲んどけ」

「いいの? ありがと」


ありがたく受け取ってキャップをひねる。
彼も同じものをもう一本買ってゴクゴクのどに送る。


「今日はありがとね」
「なにが?」


とぼける彼が歩きだしたので、私も隣に並んだ。


「先輩たちのこと。言いだしにくくて」
「ちゃんと言え。柳瀬が倒れたら、俺たちが困る」


私、役に立ってるのかな。


「うん。頑張る。……あっ、ごめん。電話出ていい?」
「あぁ」


中江くんと話していると、スマホが鳴った。
母からの電話だ。


「もしもし」