キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「湊、涼しい顔して練習こなしてて、すごいよな」

「そうだね」

「アイツ、多分家に帰ってからもトレーニングしてるんだろうな」

「えっ、こんなに練習してるのに?」


たしかに、中江くんは他の部員より余裕がある。

腕の筋肉は相当なもので、ユニフォームに隠れた部分も鍛え上げてあるような気もするので、大島くんの発言も納得した。


「うん。前に出かけたときに、湊がランニングしてるところを見かけたんだよね」

「はー、すごっ。私、部活だけで結構へとへとなのに」


炎天下では少し動くだけでも息が上がる。

それなのに激しい部活のあとに、まだ走り込んでいるなんて信じられない。


「柳瀬仲間じゃん。一緒にランニングする?」

「私は無理。倒れるよ」


ようやく立ち上がった彼は、「だな。とにかく頑張るわ」と片付けに加わった。



十五時ですべての練習は終了。