キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

するとのどぼとけを揺らしながらゴクゴクのどに送った大島くんは「生き返った」と叫んだ。

熱中症かと心配したけれど、大事には至っていないようだ。


「お前、もっと持久力つけろよ」


中江くんがつっこむ。


「そんなこと言ったって、持久力が俺を嫌うんだよ」
「あほか」


中江くんはバッサリ切り捨てる。


「毎日一時間くらいランニングすれば嫌われねぇぞ?」
「一時間?」


大島くんは目が飛び出んばかりに驚いている。

隣で聞いていた私も、驚いた。
このハードな練習のあとに一時間も走り込んだら、死んでしまいそうだ。


「ランニング、頑張れよ」


中江くんは大島くんの肩をポンと叩いて再びボール拾いに戻った。


「マジか」


大島くんは肩を落とす。


「中江くんは大島くんのためを思って言ってるんだよ。まあ、ちょっと厳しいけど」


声をかけるとうなずいている。