キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「なに?」
「日焼け止め、塗り直しとけよ」
「うん」


彼は本当によく気がつく。

一年生の部員で同じクラスなのが中江くんだけなので、他の部員より会話をする機会は多いが、彼はわりとぶっきらぼうで、雑談もあまりしない。

だからか、ちょっと怖いという人もいるけれど、私にはよく話しかけてくる。

ただ、嫌みな言葉が多いけど。


急いで食べて手伝おう。

走って部室に向かうと、中江くんが他の一年生の名前を呼んでいる。

グラウンド整備の手伝いを頼んでいるのだ。

マネージャーからはなかなかお願いしにくいので、彼の行動がありがたかった。



冷凍食品だらけのお弁当をすごい勢いで口の中にかき込んでいると、北見先輩たちが戻ってきた。

涼しい顔をしているふたりは、救急箱にテープを補充している。

でも買ってきたのはたったひと巻きのようで、目が点になった。


「先輩」