キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「柳瀬はよく働くよな。本当に助かってる」


思いがけず褒められて照れくさくてたまらない。


「私より先輩たちです。頑張ってください」
「サンキュ」


目を細めて微笑む彼は、断ったのにウォータージャグを運んでくれた。


「優しいな、先輩」


グラウンドの整備をしながら、キャッチボールをはじめた池田先輩をさりげなく目で追う。

先輩は、いつも私たちマネージャーの働きを気にかけていて、こんな下っ端の私にも声をかけてくれる。


「シートノック始めるぞ」


池田先輩の声がグラウンドに響き我に返った私は、すぐさまバットの準備に走った。



練習はお昼休憩をはさんで午後まで続く。

部員がお弁当を食べているすきにグラウンド整備をしておこうと、トンボ片手にグラウンド校庭に飛び出した。

私はあとでも食べられる。


整備を始めて十五分。
あきれ顔でやってきたのは中江くんだ。