キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

彼は鋭い目をして、グラウンドを見つめる。


「だから少しだけ踏ん張れ。ちゃんと応援しろ」
「……うん」


うなずくと、彼は私の頭をグシャグシャにしてから監督のところに走っていった。


もう一度深呼吸してから私も戻ると、中江くんが監督に深々と頭を下げている。


「お願いします。絶対に勝ってみせます。たとえ何点差がついていても、俺がひっくり返すし打者も打ち取ります」


もしかして、出場させてほしいと訴えてる?

彼がこれほど腰を低くして頼みごとをする姿は記憶にない。
本気なんだ。


「でもなぁ」


監督が苦い顔をする。
この調子では今日はベンチから外れる予定だったのかもしれない。


「監督、中江を入れましょう。長い目で見て、中江は旭日の主軸になってもらわないと困る選手です。経験を積んでおいたほうがいいかと」


そう提案したのは、池田先輩だった。


「大丈夫なのか?」