キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

それに、またメチャクチャに打たれたら、今度こそ中江くんのベンチ入りが危うくなる。

甲子園に行くために必死に頑張っているのに……私がその道を閉ざす権利なんてない。


「中江くん、負けないで」

「けど……」

「嫌なの。中江くんには勝ってほしいの。私がどれだけ中江くんに期待してるか、知らないの?」


そう言った瞬間、彼は困った顔をする。


「だから、我慢なんてするな。悲しいときは泣けよ」
「えっ……」


目頭が熱くなり涙をこらえきれなくなると、彼は自分のキャップを私に深く被せて顔を隠してくれた。

しばらく声を殺して泣いていたけれど、もうすぐ試合が始まる中江くんにこれ以上迷惑かけられない。


「ごめん。ありがと」


手で涙を拭い、キャップを返す。


「……柳瀬。お前の期待に応えてやる」

「えっ?」

「今日の試合の勝利、柳瀬にプレゼントするよ」