キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

聞きたいことがあふれてくるのに、なにひとつとして聞けない。

だって、それを話したら、私の淡い恋心に気づかれてしまうから。


「そっか。励ましてくれてありがと。とにかく、今日は勝つから」
「はい」


私が作った笑顔でうなずくと、彼は監督のもとに走っていった。


彼のたくましい背中が小さくなっていくのを見ながら、呆然と立ち尽くす。

こんなに悲しい告白を受けたのに、涙すら出ないほど衝撃を受けていた。


――ジャリッ。
背後で小さな足音がしたため振り返る。


「中江、くん……」


トイレから出てきただろう彼が、真剣な表情で私を見つめていた。

もしかして、聞いてた?


「あっ、あのっ……」
「告白できないように、俺が試合に出て負けてやろうか?」
「えっ?」


思いがけない言葉をぶつけられ、目が点になる。

やはり聞いていたんだ。

でも、わざと負けるなんてありえない。