キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「気になるなら、行ってくれば」


隣で手伝いだした彼が小声でささやくため、再び手が止まった。


「ど、どこに?」
「さあ」


冷や汗たらたらで答えれば、彼ははぐらかす。

しかし、〝あのふたりのところに〟という言葉が隠れているに違いない。

彼は私の池田先輩へのあこがれを見抜いているからだ。


行けるなら行きたい。
ふたりを遠ざけたい。

でも、そんな勇気も権利もなくて、その後は黙々と片づけに励んだ。



その日は真奈と一緒に家に帰った。
電車の中でも彼女はずっと興奮気味に池田先輩の話をしてくる。


「もー、優しすぎる。助けてもらったお礼を言ったら、当然のことをしただけだから気にしないでだって。あの大人な感じ、クラスの男子とは全然違う」


真奈が目を輝かせて語るのが、正直言ってモヤモヤする。

池田先輩の魅力くらい、ずっと前から知っているのに。