キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「鏡見て塗った? 白い線が残ってる。まったく、不器用すぎだろ。化粧も行動も」


行動も? 先輩たちからかばってくれたの?

私が頬をこすっている間に、彼は離れていった。


アップが終わると、キャッチボール。

その頃、ウォータージャグひとつをふたりで持った先輩たちが戻ってきた。


「はー、重い。柳瀬さん、まだあるからあとはお願いね」
「はい」


ウォータージャグはもうひとつ小さめのものがある。
私は駆け足で部室に向かった。



旭日高校はごく普通の公立高校だ。

甲子園なんて夢のまた夢というレベルのチームだったけど、五年前にとんでもない才能のある選手が引っ張り、甲子園初出場を果たした。

私が夢中になったあの試合だ。

現在はプロ野球選手として活躍している彼、霧島(きりしま)先輩の活躍は今でも伝説になっていて、霧島先輩にあこがれて入部してきた選手も多数いる。