キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「わかりました。すみません、よろしくお願いします!」


真奈を一刻も早く楽にしたいと思った私は、彼の厚意に甘え、昇降口にたどり着いたふたりを置いて更衣室へと走った。



幸い母は家にいて、すぐに迎えに来ると言う。


「池田先輩、すみませんでした!」


本格的に降りだしてきた雨の中全力疾走で校舎まで走り、バタバタと保健室に駆け込んだ。

すると、池田先輩がベッドに横たわる真奈と言葉を交わしていたので、心臓がトクンと小さな音を立てる。


「真奈ちゃん、落ち着いたよ。まずは顔、拭いたら?」


先輩に濡れた顔を指摘されて恥ずかしい。

呼吸も平常通りに戻った様子の真奈はクスッと笑う。


「莉奈、ありがとうね。薬がよく効いたみたい」

「うん。よかった……。でも迷惑をかけたんだから、ちゃんとお礼を言って」


私が真奈を促すと、池田先輩は首を横に振っている。