キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

池田先輩の申し出に驚いて断ろうとすると、彼は再び口を開く。


「柳瀬じゃ無理だろ」

「すみません。それではお願いします」


私は背中を向けた彼に真奈を預けた。


「遠慮せずに、しっかりつかまって」


先輩は真奈に優しく伝える。
するとまだ呼吸が整わない真奈は、涙目でうなずいている。


「苦しかったらすぐに俺を叩いて合図して。大丈夫だからな。頑張れよ」


真奈を背負った先輩が立ち上がって足を前に進めだしたので、私はふたりに傘を差しかけてついていった。


「先輩、本当にすみません」

「全然。喘息?」

「はい。毎日薬を飲んでるんですけど、時々発作が出るんです」


苦しそうに眉をひそめる真奈の代わりに答えた。


「そっか。大変だな。柳瀬。俺はこのまま保健室に付き添うから、お前着替えてこい。家の人に連絡して向かうに来てもらうとか……」