キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「……限界まで練習を積んでいるつもりなのに、肝心な場面で失敗して。もう続けてもムダだろ」

「違う。違うよ? ミスがひとつもない選手なんていないよ?」


個人競技ではないので、ひとつの失敗がチームの負けにつながるのが残酷だ。

でも、どの選手にもその可能性はあるのに。


「それに、頑張ったことにムダなんて言葉使わないで。努力にムダなんてないんだから! 中江くんの腕をバカにしないで!」


涙目になりながら、ムキになって彼の腕をつかんで訴える。

すると彼は少し驚いたような顔をしたあと、ふと表情を緩めた。


「痛ぇよ」

「あっ、ごめん! ね、骨折とかしてない? 病院行く?」


あまりに熱くなりすぎて、ボールが当たった場所の近くに触れていた。

慌てて尋ねると、彼はクスクス笑いだす。


「骨折も捻挫も大丈夫だ。思いっきり打ちそこなった緩いボールだったし」

「よかった……」