キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

このまま黙っているわけにはいかない。


「マネージャーの言うことは聞いて! こっち来て」


私はかなり強引に彼を引っ張り、部室に連れていく。
そしてイスに座らせて、ユニフォームの腕をまくった。


「赤くなってる」


私はすぐにコールドスプレーを吹きかけ始める。


「だから、いいって言ってんだ」

「私がよくない! 私は、この腕がどれだけ頑張ってきたか知ってるんだもん。それなのにつぶれたりしたら……」


目頭が熱くなり、慌てて彼から顔を背ける。


「柳瀬……」

「悔しいの。このままで終わってほしくない。そりゃあ、この前の試合はうまくいかなかったかもしれないよ。でも、次は違うかもしれないのに、中江くんはこのまま終われるの?」


過酷な練習をこなしている彼に向かって、生意気な発言かもしれない。
でも、言わずにはいられなかった。

すると彼は、しばらく黙って考え込んでいる。