キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

昨日のことがあるので、どうしても視線が中江くんに向く。

最近は福岡先輩たちに交ざってピッチング練習していた彼だけど、今日は大島くんと一緒に筋トレチームに入っていた。


「気にしてる……」


きっと昨日の失投を気にして、ピッチング練習に加われないのだろう。

このままでいいの?

なんとか立ち直ってほしいと願いつつ、筋トレチームの近くで、カゴいっぱいの汚れたボールを拭き始めた。


二年生はバッティング練習を開始していて、バットがボールをとらえる音が響いている。

それを聞きながらしばらく作業に没頭していると、「柳瀬! 危ない!」という大きな声がして……。


「キャッ」


気がついたときには地面に倒れ込んでいた。
誰かが私に覆いかぶさっていて目を白黒させる。


「中江、くん?」


多分、飛んできたボールから、私をかばってくれたんだ。


「ごめん! 大丈夫か?」