キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

それは言われなくても知っている。


「……うん。ねぇ、今日は気圧の変化が激しいみたいだよ。ほんとに平気?」


毎朝の天気予報のチェックは、いつの間にか習慣づいている。

肝心の本人はそれほど気にしていないので、気になる性格なのもあるのかもしれないけど。


「うん、少しならいいでしょ? ちゃんと吸入薬持ってるし、天気ばかり気にしてたらなにもできないの」


発作時に吸入する薬を持ち歩いていても、大発作になると対処できないケースもある。

真奈もそれを承知しているはずだけど、よく学校を休むせいで楽しい経験が少ない彼女が、少しくらい羽目を外したい気持ちはよくわかる。


「そうだね。でも調子が悪くなってきたらすぐに教えてよ。ごめん、もう行く」


念押しして、真奈のもとを離れた。


部員たちの飲み物を用意しているうちに、練習が始まった。