キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

「今日は負けたけど、皆よく頑張った。接戦をものにできなかったのはくやしい。でも、この負けから学ぶものはあるぞ。次は負けない。また一から練習し直しだ」


先輩は激励しているけれど、皆うつむいたままだ。

二年生にとってはセンバツ出場の最後のチャンスだったのだから無理もない。


「シャキッとしろ。俺たちの最大の目標は、夏の甲子園だろ。必ず行くぞ」
「はい」


元気のない返事が皆の悔しさを示している。

重い雰囲気のままその日は解散したけど、私は誰もいなくなった部室で放心していた。

皆を励ます力もなく、中江くんを守ることもできない。
これでは本当にただの雑用係だ。

私は中江くんに何度も助けられたのに、なにもできないの?


「どうして……」


うまくいかないんだろう。
努力しても結果がついてこなければ、叩かれるなんて。