キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

祈るような気持ちでいると、次の打者にはセンター前ヒットを打たれて一塁に走者が出てしまった。

するとショートの池田先輩がすかさず中江くんのもとに走り、ひと言ふた言ささやいて守備位置に戻る。


次の打者は四番だ。
今日は三本ヒットを放っていて調子がいい。


大丈夫。中江くんならきっと……。

心の中で願っていたが、彼の投球が突然乱れ始め、甘いボールをあっさりレフトに引っ張られてしまった。


これで走者は一、三塁。
三塁の選手にホームベースを踏まれたら終わりだ。

続けて迎えた五番はファールを連発して粘る。
そして、五球目。


「あっ……」


思わず声が漏れ、頭が真っ白になった。

ストライクゾーンど真ん中に入ったあきらかに抜けたカーブを、簡単にセンター前に運ばれたのだ。


「嘘だろ」


大島くんが落胆のため息を漏らす。