キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

練習はきびきびと進み、終了したあと簡単なミーティングが行われた。


「今一軍のヤツも、うかうかしてるとレギュラー取られるぞ。俺も含めて気合の入れ直しだ」
「はい!」


池田先輩が皆を奮い立たせる。
中江くんの鬼気迫る姿に感化されているのだ。

こんなふうに先輩たちの意識まで高める中江くんは、池田先輩の後を継ぐキャプテンになりそうだと感じた。



三回戦は翌週の日曜日。
予想通り強豪私立高校が勝ち上がってきて、今までになく緊張している。


「先発福岡でいく。今日の相手は強打者が多いから、全員で守り切るぞ」
「はい」


監督のゲキが飛び、皆の表情が引き締まった。


中江くんはベンチ入りしたものの、内野手としての出場もなくベンチを温めるだけ。

試合は今までになく一進一退という感じで、点を取られたら取り返し、取ったら取り返されが続き、現在八回表。
五対六で負けている。