「ううん。腹筋パキパキにしようと思ったんだけど、湊に教えられたメニューがきつくて、一日で挫折した」


挫折したのに、なんでそんなに得意げなの? しかも一日?

おかしくてこれまた噴き出す。


「ちゅーか、女子の応援、いつもこんなに多いっけ?」


彼はチラリと後ろに視線を送った。


「池田先輩と中江くん効果じゃない?」


中江くんがベンチ入りすると知って観戦に来たクラスメイトもいる。


「俺もキャーキャー言われたいな」

「キャーキャー」

「そんな感情のこもってないキャーはいらん」


大島くんは私の冗談にクスッと笑った。

今日の相手は、一次予選を初突破した公立高校。

甲子園を期待される旭日高校からしてみれば格下のチームとなるが、試合前のミーティングでは皆気合十分だった。

試合は一回から旭日がいきなり五点も入れて、圧倒的優位に立った。