「じゃあ、デイジーのモデル業をメインにします」

 アイドルと並行して、モモは二年前からファッション誌の専属モデルも務めていた。デイジーはアラサーOL向けの雑誌だから、二十三歳定年ってことはないだろう。それに、モデル業界は年齢に合わせて雑誌を移ることも可能だ。
 名案だと思ったのだが、マネージャーは渋い顔だった。

「う~ん。デイジーの仕事は【ガルラバ】の看板ありきだったから、卒業後も続けられるかはちょっと……若手の売り出しにも使いたいし」

 要するに、卒業したら、デイジーの専属モデルの仕事も同じグループ【ガールズラバー】の別メンバーとチェンジさせられてしまうらしい。いわゆるアイドル枠ってやつだったのだろうか。
 デイジーでのモモの人気を考えると腑に落ちない気もするが、本職のモデルと比べればスタイルも技術もやや見劣りするのは自覚しているので文句は言いづらい。

「いや、でも大丈夫だよ。モモは顔もスタイルも女優やモデルにひけはとらないし、CMタレントから女優業の王道コースで成功できるはず」
「そうそう。ガルラバファンの半分以上はモモのファンなんだから」

 マネージャーがあわててフォローすると、プロデューサーもそれに同調した。

(ふたりとも、卒業しなくていいとは言ってくれないんだな……)