ちらっと上をむくと、少し驚いたような顔をした彼方くんがいた。 ……彼方くんが開けようとしたのか。 「ご、ごめん……」 「……」 そう謝っても相手は無言。 彼方くんは一定の場所を見ていた。私の手元だ。 なに?と思い手元を見ると、手に握られた買い物袋。 これがどうかしたのかな……? キョトンと首を傾げると、彼方くんの手が伸びてきて私の持っていた袋を奪った。 「え……っ」 そのまま彼方くんは家の中へ無言で入っていった。