それからあっさりあたしから離れていった。
利人のしつけ方は昔から雑なんだ。
冗談でも、少し脅しておけばあたしが言うことを聞くと思ってる。
利人のあたしって、きっと、チョロくて扱いやすいオンナなんだろうな……。
「土屋くん、いい加減カノジョとかつくらないの〜?」
「あー、そろそろつくってもいいかもね」
どこまでもお行儀が悪いあたしは、少し前を歩くふたりの会話を盗み聞きする。
……って、いや、今なんて?
“彼女つくらないの?”って聞こえた気がするんだけど。
やめて。利人に余計なこと言わないで。
しかも利人、なんでそんな返事しちゃうの?
冗談だよね……っ?
思わず声が出そうになった。
あたしの隣で斉藤くんがなにか言ってるけど、ごめんね、今それどころじゃないよ。
「土屋くん、もしかして彼女候補とかもういるの?」
ドク、ドク。
心臓うるさい、止まって……。
いや、止まっちゃだめか……しんじゃうし……。
制服の上から、そこをぎゅっと押さえる。
しまいには呼吸まで危うくなってきて。
「別に……。菜結以外なら誰でもいい」
そのセリフに……トドメを刺された。



