「もっとこっち」
「っ、や……」
「動くと見えねえよ」
「み、見なくていいっ……!」
我ながらわかりやすい嘘だったと思うんだけど、利人は信じてるの?
それとも嘘だとわかった上でこんなことしてるの?
胸板を押し返す。
その手はあっさり掴み上げられた。
――あ、これはぜったい後者。
抗おうにも、その瞳に一度捉えられたら最後。呪いにかかったみたいに体が動かなくなる。
「くだらない嘘を吐くな」
突き放す言い方に、強気でいようと踏ん張っていた心はあっけなく折れる。
「り、利人のほうが嘘つきじゃん……っ」
ことあるごとに泣いてたら呆れられちゃうよね。
でも、あれもこれもぜんぶぜーんぶ利人のせいだよ。
あからさまに怪訝そうな顔をする利人に、あたしの中で何かが切れた。
「生徒会の仕事とか嘘吐いて、アヤノさんとデートしてたくせに……っ」



