「利人いると食べらんない」
「………」
「から、……帰って」
あたしにしては、かなり冷たく言い放ったと思う。
なのに利人は、従わなかった。
────それはたぶん、目の奥が熱くなるとか、喉がぎゅっとなるとか、そんな予兆もなく、
あたしの目から涙が零れたからから、だと思う。
自分でもびっくりした。
この程度も耐えられないなんていい加減おかしい……。
「菜結、」
「ごみ入ったの、目に」
「……じゃあ見せて」
ガタリ。
椅子から立ちあがって身を乗り出してきた。
伸びてきた指先があたしのほっぺたに触れる。
「ほら。上向いて」
「っ!」
思わず顔を背けたのを、強引に引き戻された。
あまりの近さに目の前がぐるぐるしてくる。
どうしよう……このままだとキスしちゃいそう、な距離……。



